– あなたのアイデアを「現実」に変える、思考の設計図 –

前回の「AIブレスト術」で、私たちは自分だけの「宝の地図」を手に入れました。

しかし、地図を眺めているだけでは、宝は手に入りません。次に必要なのは、その宝島にたどり着くための、具体的で、実行可能な**「航海計画」**です。

「事業計画書」と聞くと、分厚い書類や難しい専門用語を思い浮かべて、尻込みしてしまうかもしれません。ご安心ください。

今日の思考実験で私たちが作るのは、たった一枚の紙に、あなたの夢を現実にするためのエッセンスを凝縮した、**「AIを使った、世界一シンプルな事業計画書」**です。

AIという最高の航海士と共に、あなたのアイデアを、机上の空論から、現実を動かす「設計図」へと進化させましょう。

なぜ、AIと「事業計画」を立てるのか?

事業計画で最も難しいのは、客観的な視点を持つことです。私たちは自分のアイデアに恋をするあまり、市場のニーズや、競合の存在、そして現実的な第一歩を見失いがちです。

AIは、その「情熱」に「客観的なデータ」という羅針盤を与えてくれます。あなたの夢を否定するのではなく、その夢を最も安全に、そして確実に実現するための航路を、冷静に示してくれるのです。

ステップ1:AIに「市場調査」をさせる

最初のステップは、あなたの宝島(アイデア)の周りに、どんな海が広がっているのかを知ることです。

【AIへのプロンプト例】

「こんにちは。今日は、私が見つけたビジネスアイデア『(例)あなたの『自分史』をAIで本にするサービス』の事業計画を一緒に作ってください。まず、このアイデアの市場調査をお願いします。以下の点について、簡潔にまとめてください。

  • ターゲット顧客: どんな人たちが、このサービスに興味を持つと思いますか?
  • 市場のニーズ: ターゲット顧客は、どんな悩みや願望を持っていますか?
  • 競合: 似たようなサービスは、すでに存在しますか?存在するなら、どんなものですか?」

ステップ2:AIと「コンセプト」を練る

市場という海図を広げたら、次にあなたの船(サービス)が、他のどんな船とも違う、ユニークな魅力を持つための「コンセプト」を考えます。

【AIへのプロンプト例】

「市場調査をありがとう。では、この市場で私のサービスが際立つための、ユニークな『コンセプト』を一緒に考えてください。ターゲット顧客が『これこそ私が求めていたものだ!』と感じるような、キャッチーなキャッチコピーと、サービスの提供価値を3つ、提案してください」

ステップ3:AIに「最初の一歩」を考えさせる

壮大な航海も、すべては港から船を出す、その「最初の一歩」から始まります。最後に、AIに、明日からでも実行できる、具体的で小さなアクションを提案させましょう。

【AIへのプロンプト例】

「コンセプトをありがとう。いよいよ航海の準備が整いました。では、この船を港から出すための、具体的で、現実的で、明日からでも始められる『最初の一歩』を3つ、提案してください。できるだけハードルの低いものが嬉しいです」

この「一枚の事業計画書」を、私が実践してみたら?

この思考の設計図作りも、この城の管理人である私が、実際にAIと共に実践してみましょう。前回のブレストで見つけたアイデアの一つ、**「あなたの『自分史』をAIで本にするサービス」**を例に進めてみます。

【ステップ1:AIによる市場調査の結果】

  • ターゲット顧客: 定年を迎えた方々、自分の親への特別なプレゼントを探している30〜50代の子供世代。
  • 市場のニーズ: 「自分の生きてきた証を残したい」「親の人生を、もっと深く知りたい」「家族の絆を形にしたい」という強い願望。
  • 競合: 従来の自費出版サービスは高額で手間がかかる。インタビューサービスはあるが、デジタル化AI活用はまだ少ない。

【ステップ2:AIが考えたコンセプト】

  • キャッチコピー: 「人生という、最高の物語を、一冊の宝物に。」
  • 提供価値:
    1. 手軽さ: AIとの対話形式で、楽しみながら自分の人生を振り返れる。
    2. 感動体験: 完成した本は、家族の絆を深める最高のコミュニケーションツールになる。
    3. 永遠の記録: デジタルデータなので、劣化せず、いつでもどこでも閲覧可能。

【ステップ3:AIが提案した「最初の一歩」】

  1. モニター募集: まずは、身近な友人や親戚に声をかけ、無料で「自分史作り」を体験してもらい、感想を聞く。
  2. SNS開設: 完成した自分史の一部(許可を得て)や、制作過程の楽しさを発信する、InstagramやFacebookページを開設する。
  3. 地域の公民館に相談: シニア向けの講座として「AI自分史作り体験会」が開催できないか、企画書を持って相談に行ってみる。

【やってみた感想】

たったこれだけの対話で、漠然としていたアイデアが、一気に「実行可能なプロジェクト」の顔つきに変わりました。特に「最初の一歩」が具体的で、「これなら明日からできるかも」という勇気が湧いてきます。

結論:計画書は「書く」ものではなく、対話で「描く」もの

難しく考えていた事業計画書も、AIという最高の航海士と対話することで、こんなにもシンプルに、そしてワクワクするものに変わります。

大切なのは、完璧な計画書を「書く」ことではありません。不完全でもいいから、最初の一歩を踏み出すための「設計図」を、AIと共に**「描いてみる」**ことなのです